第21回お題
食中毒を防ぐ食品衛生の5つの鍵とは
これから本格的に梅雨の季節を迎える日本列島。さらに、その後は太陽に照りつけられる暑い夏がやってきます。この時期に多く見られる食中毒に注意するために、「食品をより安全に保つための5つの鍵」をご案内します。「もう知っているよ」とか「面倒臭いなぁ」と言わずにご一読いただき、スタッフ全員で再確認しましょう。なぜならば、200以上の症例は、食品を介して感染すると考えられているからです。
(Five Keys to Safer Food.WHO Food Safety.から主な内容を抜粋します)
第1の鍵「清潔に保つ」
- (1)食品を取扱う前だけでなく、調理中も頻繁に手を洗いましょう。
- (2)トイレに行った後には必ず手を洗いましょう。
- (3)調理器具および食品と接触する面は洗浄、消毒しましょう。
- (4)調理場や食材をねずみ、昆虫、他の動物から守りましょう。
なぜならば…
ほとんどの微生物は病原性を持ちませんが、危険な微生物は土壌、水、動物及び人から広範囲に見つかります。これらの微生物は手、ふきん、台所器具、特にまな板に付着しており、わずかな接触でも食品に移行して食中毒を引き起こす可能性があります。
第2の鍵「生の食品と加熱済み食品とを分ける」
- (1)生の肉類や魚介類を他の食材と分けて取扱いましょう。
- (2)生の食品を扱う包丁やまな板等の調理器具や台所器具は、加熱済み食品に使用する器具と分けて使用しましょう。
- (3)生の食品と加熱済み食品は別の容器で保存しましょう。
なぜならば…
肉類や魚介類等生の食品及びその肉汁には危険な微生物が含まれている可能性があり、調理準備中及び保存中に他の食品へ移行する可能性があります。
第3の鍵「よく加熱する」
- (1)食品、特に肉類、卵及び魚介類はよく加熱しましょう。
- (2)スープやシチューのような食品は70℃以上にするまで加熱しましょう。肉類に関しては肉汁が透明で、ピンクではないことを確認しましょう。温度計を使用するのが理想的です。
- (3)調理済みの食品はよく再加熱しましょう。
なぜならば…
適切な加熱はほとんどの危険な微生物を死滅させます。各種研究により70℃まで食品を加熱すると安全に食べられることが確認されています。ひき肉、肉の大きな固まり、丸ごとの鶏肉の調理には特に注意が必要です。
第4の鍵「安全な温度に保つ」
- (1)調理済み食品を室温に2時間以上放置しないようにしましょう。
- (2)調理済みの食品及び生鮮食品を保存するときは素早く冷却しましょう(理想的には5℃以下)。
- (3)食べるときまで熱い状態を保ちましょう(60℃以上)。
- (4)冷蔵庫内でも食品を長期間保存しないようにしましょう。
- (5)冷凍された食品を室温で解凍しないようにしましょう。
なぜならば…
食品が室温で保存されている場合、微生物は急速に増える可能性があります。温度を5℃以下もしくは60℃以上に維持することで、微生物の増殖を遅らせたり、止めたりすることが可能です。いくつかの危険な微生物は5℃以下でも増殖します。
第5の鍵「安全な水と原材料を使う」
- (1)安全な水を使用しましょう。
- (2)新鮮で良質な食品を選びましょう。
- (3)安全性が確保された、殺菌乳のような食品を選びましょう。
- (4)果物や野菜を、特に生で食べる場合にはよく洗いましょう。
- (5)消費期限を過ぎた食品を使用しないようにしましょう。
なぜならば…
水や氷等を含む原材料は危険な微生物、化学物質で汚染されている可能性があります。傷んだり、もしくはカビが生えたりしている食品中には、毒性のある化学物質が生成されている可能性があります。生の原材料の選別時に注意すること及び洗浄や皮むき等の簡単な処理でリスクを減らすことが可能です。
200以上の症例は食品を介して感染すると考えられています。
毎年180万人が下痢性疾患で亡くなっていると推定され、それらの多くは汚染された食品や飲料水が原因です。適切な食品の取扱いにより、食品媒介疾病のほとんどを防ぐことができます。どうぞ皆さんも食品の取り扱いには十分に注意してください。なお、日本語版5Keysマニュアルはこちらから入手できます(16.9M/PDF)。
より細かい対処方法をお知りになりたい方はこちらからどうぞ。
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