日本料理の
基本と仕事
奥深い和食の世界
これからは和食人の時代
2013年11月ユネスコの「無形文化遺産」に登録された和食・日本料理は今、世界規模で絶大な評価を得ています。その技法に世界のトップシェフは驚き感激しました。素材の特性を活かす日本料理はこれからもっと世界から注目され続ける料理。まさにこれからは日本料理の時代です。
日本料理には、お刺身や煮物、焼き物、お吸い物、肉料理から魚料理まで、四季折々の素材を生かした調理法がたくさんあります。味だけでなく、盛り付けや器、料理を飾る花にまでこだわった仕上がりは、板前の腕の見せどころです。
こんな人が成長する
日本料理・和食は「経験がないと難しい」とか、「先輩から仕事を教えてもらえない」といったイメージがありますが、そんなことはありません。最近ではそれぞれの意欲や頑張りを評価し、若い調理師にも仕事を任せるお店が多くあります。本人のやる気次第で仕事のチャンスが増えることこそ、この仕事の魅力です。板前に学歴は必要ありません。修業をしながら調理師免許を取得する方も多いようです。しかし、調理師免許取得者が特別に優遇されるとか、採用後の仕事の内容が違うということはありません。何よりも大切なことは、日本料理に対して興味を持つことです。立ち作業、細かい作業が多いので体力と忍耐、そして手先の器用さは要求されます。
日本料理は四季の恵みを大切に、独特の美意識を持つ。素材の持ち味を生かして、鮮度にこだわり、器を選んで盛りつけに工夫を凝らす。このあたりが目でも食べる料理といわれる理由です。調理法もさまざまで、包丁などの調理器具も多彩で奥が深く、仕事に対する「こだわり」を大事にできる人や意欲を持って仕事ができる人が向いているかもしれません。いずれにせよ、一生をかけて料理の腕を極めていく仕事といえるでしょう。磨けば、世界で活躍したり、独立して自分の店を持つことも夢じゃありません。
日本料理店での料理人のポジション
- 花板(はないた):
- 板場を仕切る最上位者。板長(いたちょう)とも呼ばれる。
- 立板(たていた):
- 「にばん」(二番・二板)とも呼ばれる。
- 椀方(わんかた):
- 椀(お吸い物など)の担当者
- 煮方(にかた):
- 煮物の担当者
- 焼方(やきかた):
- 焼き物(焼き魚)の担当者
- 揚場(あげば):
- 揚げ物(天ぷら)の担当者
- 追い回し:
- 盛り付け、雑用などの担当者(※見習い)
代表的な日本料理の種類
- 懐石料理:
- 茶席で客にすすめる季節感を生かした簡素な料理。
- 会席料理:
- 酒宴の席で出す料理で、正式な日本料理(本膳料理)を簡略にしたもの。
- 割烹料理:
- 割は切る裂く、烹は煮るの意味。高級料理の代名詞
- 精進料理:
- 仏教の教えを基本とする、野菜や大豆製品を用いた菜食料理。
会席料理の順番 ※店により多少異なります
- 先付(さきづけ):
- 前菜
- 椀物(わんもの):
- 吸い物
- 向付(むこうづけ):
- 刺身
- 鉢魚(はちざかな):
- 焼き物
- 強肴(しいざかな):
- 煮物
- 止め肴(とめざかな):
- 酢肴(酢の物)、または和え物
- 食事:
- ご飯・止め椀(味噌汁)・香の物(漬物)
- 水菓子:
- 果物
懐石料理の順番 ※店により多少異なります
- 折敷膳(おしきぜん) :
- 脚のないお膳に、向付(刺身)、ご飯、みそ汁をのせたもの
- 煮物
- 焼物:
- 白身魚を焼いたものが多い。
- 強肴(しいざかな):
- 焚合、酢物、和え物が多い。
- 箸休め:
- 口の中をさっぱりさせる料理。汁仕立てのもの。
- 八寸(はっすん):
- 魚や貝などの海の物と、野菜の両方が盛り込まれてた酒の肴の
- 湯桶(ゆとう):
- そば湯または塩味のお湯。