寿司の
基本と仕事
寿司業界で働く
寿司は江戸時代からの伝統を受け継ぐ、日本人の英知が集約した食文化として今や全世界で知られており、日本料理の代名詞となっています。飲食業界の中でも流行り廃りのない業態で、その地位は不動であり、寿司職人の技術自体が不要になることはありません。すぐれた技術を身につけた職人に対する需要は必ずあり、将来もなくなることはないでしょう。修行を積み上げた立ちふるまいや握り姿は美しく「魅せる職人」と称されています。立派な寿司職人になった暁には高い評価と収入が得られます。また、日本食ブームが続く海外において、日本人寿司職人は特別な存在であり、自分の好きな国、好きな都市での生活を楽しみながら優遇されるチャンスも大いにあります。海外で開業して一国一城の主を目指してみるのも大いに挑戦しがいのあることでしょう。
寿司職人の修行
料理人であればどの業態でも同じですが、一人前の職人になるには最低10年かかると言われています。握りはもちろん、魚の目利き、仕入れ、下処理、おろし、鮮度保持など、伝統と歴史に裏付けされた様々な知識と技術を学ぶと同時に、お客様への細やかな心遣いができる接客力も身に付けなければなりません。中でも見習い時期が大切で、見習い期間をどう過ごしたかでその後の職人人生を大きく左右すると言われています。一般的に入店から1、2年は雑用、皿洗い、接客、出前などを任され、“仕事の手際”、“お客様”、そして寿司職人としての“精神力”を学びます。例えば皿洗いも“早く綺麗に洗う”のに“技術”がいるのです。“ただ綺麗に洗う”と“早く綺麗に洗う”のとは時間と水道代に雲泥の差が出ます。見習い期間にはあなたが将来成功を掴むための基礎がたくさん詰まっているのです。
一般的な修行の流れ
- 1~2年
雑用全般、洗い場、ホール、出前など - 2~3年
飯炊き、貝類や小魚の下処理、玉子焼、煮物、まかない作り。 - 5~6年
カウンターに入り、巻物、軍艦の担当 - 7年~
握り
こんな人が向いています
- 心身ともに健康な人
- 何事もコツコツと取り組める人
- きれい好きな人
- 接客が好きな人
寿司職人用語
- むらさき
- 醤油。色からきている。
- クサ
- 海苔。海苔を海草と呼ぶとため。
- どんしゃり
- 寿司飯ではない白米のこと。
- アガリ
- お茶を意味する言葉。寿司屋のお茶はおいしいと言われていますが、大半は粉茶で玉露のような本当にうまいお茶は寿司の味には合わないとされています。
- エンソ
- 従業員の食事のこと。
- キル
- ネタをお刺身(お造り)にすること。
- 山・川
- 山は売り切れ品、川はオススメ品のこと。
- あにき
- 前に仕込んだ、先に使う古いネタのこと。
- おとうと
- 仕込んだばかりの新しいネタのこと。
- オテショ
- 醤油をいれる小皿
- 逃がす
- 食材を廃棄すること。
- おどり
- まだ生きているネタのこと。