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第37回 ペレグリーノ

2013.8.22
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NZ、カナダ、日本で体験できなかったことに、イタリアではじめて出会った。

お会いしたのは平日朝10時。オーナーシェフの高橋隼人さんは、もうすでにパスタの生地づくりなど、いくつかの仕事を終わらせているところでした。

「スタッフは午後からの出勤になります。キッチンで仕事をするのは私ひとりなんです。大変? いや、やりたいことを、やりたいようにやっているので、精神的には快適ですね。独立してよかったと思っています」

やりたいことを、やりたいようにやっている──。

その内容を説明するには、高橋さんのキャリアをさかのぼるのが分かりやすいと思われます。

十代のころから外国にあこがれていた高橋さんは、二十歳でニュージーランドへわたります。日本レストランでバイトをしながらのワーキングホリディでした。その店でまかないで食べたシンプルなパスタに衝撃を受けたのがイタリアンとの出会いでした。

帰国後、徳島のイタリアンレストランで仕事に就きます。どんどんチャンスを与えられ、3年間のラスト1年はシェフも任されるほどに。

再びワーキングホリディで訪れたのはカナダ。日本人のいないイタリアンレストランに入り、料理と英語を集中して学びます。

帰国後、兵庫県芦屋や東京駅丸の内のリストランテでも経験を積みました。

「その後、イタリアへ行くんですが、そこで、はじめて自分がやってきたことが創作イタリアンだったことを知るわけです。時代も、創作イタリアン全盛期でしたから、それはしょうがないことなのですが」

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手動の生ハムスライサーをイタリアから。店づくりの原点はここにあり。

北イタリア、エミリアロマーニャ州パルマの町にある家族経営のリストランテに入り、3階の屋根裏部屋で寝泊りしながら、その地方の伝統料理を学びます。

「ここで、料理に対する考え方が変わりました」

高橋シェフは、その地方の先人たちが積み上げてきた料理という文化の素晴らしさに感動していきます。

「たとえば、私たち日本人の感性だと、カモとくればネギって考えますよね。パルマの人にとってラヴィオリといえばリコッタチーズとほうれん草なんです。そういう食材の合わせ方ひとつをとっても、そこには積み上げてきた知恵や習慣があるんですね」

たしかに、ワカメの味噌汁をつくるとき、同じ海のものだからといって、そこに青のりやめかぶを加えることはしませんよね。豆腐は入れるかもしれないけど、ワカメの味噌汁はワカメだけがうまい。とても微妙なことなんですけどね。

「さらに私が感動したのが、生ハムを目の前で切り分けるというおもてなしのスタイルです。それはもう、イタリアでは最高のステイタスでもあるんです。日本に帰ったらすぐに手動の生ハムスライサーをオーダーしました(笑)。このマシンを使ったおもてなしを表現するために、自分の店をもとうと考えたのです」

自分が見たこと、体験したこと、そして感動したことを、感じたままに表現したい。本物の伝統を伝えたい。そのためには、考え方の異なるシェフや企業のもとで働くわけにはいかない。それが高橋シェフにとっての「独立」でした。

「やりたいことを、やりたいようにやっています。私がこの目で見て、食べて感動した料理、そこに1ミリのノスタルジーも、ひとつまみの研ぎ澄ませる感覚も加えていません。最近になって、それが少しずつ喜ばれたり、評価されることもあり、とても嬉しいことですね!」

どのテーブルからも見える場所にあるパスタマシン。つくりたての生パスタはキッチンに運ばれ、パルマ風ラヴィオリ「トルテッリ」に。

高橋シェフの「おもてなし」を表現するのがこの手動生ハムスライサー。目の前でスライスされる24ヶ月熟成の生ハムを、ぜひ!

天井や壁面に、歴史を感じるイタリアらしい装飾が施されていました。パルマの食文化をそのままに伝えるコンセプトともぴったり。

店舗情報
ペレグリーノ (PELLEGRINO)
東京都港区西麻布4-6-5 協立興産西麻布ビル1F
tel.03-6419-9233
営:ランチ12:00~15:30(L.O.13:00)※土・日のみ
ディナー18:00~24:00(L.O.21:00)
休:水曜日、第3火曜日
交:日比谷線広尾駅徒歩5分
<予告>次回のリレーキーワードは?
「ペレグリーノ」ファミリーつながり「四季おりおり」

自分がやりたいこと、やるべきことを見つけた高橋さん、にこっとやさしい話し方でありながら、奥にめらめらと燃える情熱を感じるのでした。さて次のお店をご紹介いただきました。「住まいがすぐ近くで、夫婦ともどもご近所づきあいをさせていただいています。福田雅暢さんのお店は恵比寿の「四季おりおり」。私と似て、こだわりの強い料理人です」。ありがとうございます。どのようなこだわりをお持ちなのか、楽しみですネ。それでは次回、「四季おりおり」さんでお会いしましょう。

文:高木 正人
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