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第46回 ワゴン・リ

2014.1.9
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5年・10年の常連客は、他のお客さんから「新参者」と呼ばれていた。

創業1980年──。足達博夫さんが渋谷センター街で「ワゴン・リ」をオープンさせたころ、JRはまだ国鉄で、街ではいくつもの深夜喫茶やジャズ喫茶が盛況を極め、日経平均が史上最高値に向かって急上昇をはじめた時代でした。

イタリアンという業種でさえまだ無名の存在、カフェバーの流行がこれから起ころうとしていた時代、足達さんはオリエント急行の寝台車をイメージした空間で、エスカルゴのブルゴーニュ風のような当時としては先端をいく洋食を提供するレストランを開業したわけです。

「昔はセンター街は宇田川有楽街と呼ばれていました。現在のような街並みになるなんて、良くも悪くも想像もできなかったですね(笑)」と、当時を振り返ります。

「うちはおませな大学生のたまり場のような存在でした。まだレストラン情報も少なかった時代ですからね、みなさんお気に入りのレストランを自分の足で探し出した喜びもあったのだと思います。みんなが『自分が探し当てた自分の店』のような感覚でとても大切にしてくれました」

やがて常連客という枠組みを超えた「有志」たちが絆を深めていき、ゴルフ大会やボーリング大会、「ワゴン・リ通信」を発行するほどに。

「通いだして5年や10年程度の常連客は新参者と呼ばれていましたから(笑)。それに、当時のお客さんは私にとっては子供や弟分みたいな世代でしたから、厳しかったですよ。こらっ! 一気飲みなんかするな!とか叱っていましたからね」

2013年現在、当時の有志たちは立派に成長し、大企業を支える幹部、大学教授や学長など、社会的地位の高いポジションで活躍されている人がほとんど。もちろん、今でも足達さんに会いに「ワゴン・リ」へ訪れます。

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レストランは社交場であり、人が成長していく場---。

今ではジビエ料理として人気の蝦夷鹿を、30年近くも前からいち早く導入したのも足達さんでした。初代料理長の時代から受け継がれている名物料理は今も健在です。

長男の太一さんが厨房に入ったのが2001年。

お客さまも、スタッフも、多くの世代が「ワゴン・リ」で人生の一面を刻んできました。

「うちで知り合って、いまでも仕事やプライベートでつながっている人は多いですね。うちで出会って、デートを重ねて結婚したカップルもいますょ。今ではみなさん、孫をもったりしてね。でも久々に来店すると、あのときの私にさんざん怒られたなぁなんて(笑)、思い出話に華が咲きます」

ここで修行をし、独立して、レストランを開業している人も何人もいるそうです。

「スタッフにはいつもこう言うんです。『うちを辞めるとき、また遊びに来られるように辞めなさい』ってね」

人と人とのつながりを大切にしている足達さんならではの言葉ですね。サービスマンというより、みんなの「兄貴」みたいな存在である足達さんですが、サービスで心がけていることは?

「次回の来店のとき、今回の会話のつづきができるようにすること。レストランをやってつくづく思うことがあるんですね。それは、レストランの雰囲気をつくるのはお客さま。お客さまをつくるのはお店でありスタッフだということです」

レストランは社交場であり、人が成長していく場──。そんなことを今回「ワゴン・リ」さんから教わったような気がします。

大きなテーブル席は、お一人さま専用。気がつけばテーブルを挟んで会話が弾んでしまう。足達さんならではのアイディアが表現された席です。

壁には奥さまによる絵画が飾ってありました。植物を描いたり、寝台車のマークのような絵があったり、楽しいひとときを演出してくれます。

天井の丸みは、オリエント急行の寝台車をイメージ。おいしいお酒と料理で思い出をつくるという意味では、旅を彩る食堂車のようでもありますね。

店舗情報
ワゴン・リ
東京都渋谷区宇田川町25-3 プリンスビル2F
tel.03-3461-2521
営:17:00~24:00
休:日曜日
交:各線渋谷駅徒歩5分
<予告>次回のリレーキーワードは?
「ワゴン・リ」渋谷の組合つながり「酒とさか菜」

渋谷に根ざし、ここから多くの若者たちが社会に出て行ったという意味では、「ワゴン・リ」さんは大学みたいな役割を果たしていたのかもしれませんね。さて、足達さんはどんなお店をご紹介していただけるでしょうか?「渋谷に日本酒専門のいい店があるんです。高塚さんの『酒とさか菜』を自信をもっておすすめします」。ありがとうございます。それでは次回も渋谷エリアから、日本酒をメインにした「酒とさか菜」さんの登場です。

文:高木 正人
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