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第56回 アバンツァーレ

2014.6.19
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独立で心がけたことは「低リスク」。初期費用を抑えた店づくり。

若いっ! 独立したばかりの横谷 周(よこやあまね)さんは29才。センター南の新しい街並みに、フレッシュなイタリアンのお店が似合いますね。

駅から5分。綺麗なビルの1階、路面店という物件に出会うまで、1年を費やしました。カウンター席のみ。7坪にも満たない空間ですが、ゆったりとワインと食事を愉しめます。

これまでイタリアンの仕事場を中心に、多くの先輩にお世話になりながら料理やマネージメントを身につけてきた横谷さんですが、独立にあたってもっとも注意した点は?

「リスクを低くすることだけを考えました。独立してみたものの、やっぱりダメだったなんてことだってあるのがこの時代の飲食店の難しさ。もしダメだったときのことを考えると、大きな負債を抱えてしまうような業態はリスクが高いですよね。居抜き物件の7坪ほどのこの空間で、スタッフも使わずひとりで店を回せる。初期費用を、しっかりと抑えることを考えました。低リスク低リターンでいいかなぁと思っているんですょ」

綺麗な店内なのでスケルトンからの立ち上げだと思っていたら、居抜きだったのですね。オーブンやストッカーなど、必要最小限のものだけを揃えてお店をスタートさせたのです。

「20代で独立しようと思ってやってきたのは、この仕事が体力勝負だからです。体力のあるうちに自分の店をもって軌道に乗せたいと思いました」

幼い頃にバブルがはじけ、ものごころがついたときにはリーマンショックが起き、3.11を経験してきた世代。彼ら特有のきちんとした「リスク管理」を感じます。

お客さまのほとんどは、横谷さんより上の世代。センター南の新イタリアンとして常連さんも増えつつあるようです。

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年上のお客さまばかり。常連さんからは「あまね君」と呼ばれて。

人間好きなのでしょう。まったく人見知りをしない横谷さん。お客さんとおしゃべりしながら、ワインを注ぎ、料理をつくり、愉しい空間づくりを心がけています。

センター南に土地勘があったわけでもありません。でも、この街の人々と仲良くしていきたいとの思いを強くもっています。

「物件が決まって、店の準備を始めてから、夜になるとこの街の飲み屋さんなどにお邪魔するようになって、オーナーシェフの皆さんとも親しくさせていただいています。ときにはお客さまを紹介していただいたりして、本当に感謝しています。センター南をみんなで盛り上げよう、みたいな気運をみなさんお持ちなんですよね」

持ち前の誰とでも仲良くなれる気さくなキャラが、業種にかかわらず近隣の店主やワインのインポーターなどとの出会いやネットワークを呼び込んでいるのかもしれません。

カウンター席のみの店内では、前菜やちょっとしたおつまみでワインを飲む人もいれば、カルパッチョから肉料理、パスタで〆るガッツリ派まで、その日の気分でどんな使い方もできるのが「アバンツァーレ」のいいところ♪

トリッパやコブクロなど内臓系や、牛アキレスのアラビアータなど、ユニークな部位を使った料理が人気です。しかもトリッパをトマトベースではなく、白ワインベースにするなど、横谷スタイルの遊びごころも。

初めてのお客さまにはできるだけ声をかけてコミュニケーションを取り、2回目のお客さまには名前で呼びかけるよう心がけている横谷さん。常連さんからは「あまね君」と親しみを込めて呼ばれています。

「誰もいない時間帯はスタッフも話し相手もいないので寂しいです(笑) 店が軌道に乗ってきたら、スタッフを入れて新業態を出店してもいいかなぁと思っています」

店をオープンさせてまだ半年ですが、早くも経営者として次の目標もイメージしているようです。

トリッパやコブクロなど内臓系の料理は、横谷さんのスペシャリテともいえるもの。これは旬の野菜による「トリッパと長ネギの煮込み」です。

カウンターでゆったりとワインと料理を愉しめます。バルスタイルからレストランスタイルまで使い勝手のいいお店です。

センター南駅からすぐ、綺麗なビルの1階。イタリアの国旗と犬と猫が仲良く収まっているワイングラスのロゴマークが目印です。

店舗情報
アバンツァーレ (AVANZARE)
横浜市都筑区茅ヶ崎中央46-5
tel.045-943-9434
営:月~金ランチ11:30~14:00
ディナー17:30~24:00
土 17:30~24:00
休:日曜日
交:横浜市営地下鉄センター南駅徒歩7分
<予告>次回のリレーキーワードは?
アバンツァーレご近所仲間よーいち流

カウンター席だけのオープンキッチンは、明るく親しみやすいキャラの横谷さん向きの仕事場でした。おいしく、おしゃべりも弾むセンター南のイタリアンとして注目です。さて次のお店をご紹介いただきました。「同じ世代で、マラソンランナーとして活躍もしている赤尾洋一さんの『よーいち流』はおすすめです。ご近所のお店としておつきあいさせてもらっています。」とのこと。ありがとうございます。それでは次回もセンター南からのレポートです。

文:高木 正人
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