クラフトビールと日本酒と海鮮・野菜料理。すべてがクラフトワーク、つまり職人の仕事。

一日の締めくくりにノドを潤すとき、いきなりサワーやありきたりの瓶ビールで乾杯するのも悪くはないけれど、開栓したてのクラフトビールで味わいの一杯をグビッといきたいときもありますよね。

あるいは、本当は旬の刺身で一杯いきたいんだけど、クラフトビールも愉しみたい。でもクラフトビール専門店だとどうしても洋食系のおつまみがメインだしなぁ、と悩む夜もあったり。

さらに、自分はクラフトビール飲みたいけど、大切な連れは日本酒党のため、行きたい店のコンセプトが分かれてしまう。忙しくハシゴするのもめんどうだし……。

そうした悩みを一気に解決して、みんな幸せなひとときを過ごせるのがその名も「万事快調」です。

日々のように開栓されていくクラフトビールと、厳選された日本酒は無濾過生原酒がメイン。料理は海鮮料理と野菜をメインにした和の味わい。本当に飲みたいもの、食べたいものに出会えるとあってか、2周年もまたずして人気店に。

店名の「万事快調」の横につづくサブタイトル「KRAFT WORK DINNING」の意味を尋ねると。

「すべてがクラフトワーク、つまり職人の仕事という意味を込めています。ビールや日本酒、野菜や漁場の生産者のみなさんも職人。板前も、日々築地まで仕入れに行き、キッチンできちんと手をかけて料理をつくる職人なんですょ。自信をもってお出しできるものだけをみなさんに愉しんでいただきたいと思っています」と店主の岩崎カズヒロさん。

タップからクラフトビールを注ぐ岩崎さんも、ブルワリーの生産者やクラフトビール店の店主たちとコミュニケーションを取り、麦芽のこと、酵母の知識、熟成のプロセスなどについて日々勉強をつづけています。

「ビールだからあのつまみ、日本酒だからこう飲まなきゃという固定概念なしで、好きなものを飲んで食べて、自由に愉しんでほしいんです」

何かのきっかけや、入り口になれればとてもうれしい。

クラフトビールはまだまだ新しいジャンルの飲み物ということもあり、入門したばかりの人は情報を集めながら、知識を得ながら、その日の一杯をチョイスすることもあります。それもすばらしい愉しみ方ではありますが、決して頭デッカチにならず、自分の五感で味わってほしいと願っているのですね。

「クラフトビールを飲みに来られた人が、おいしい日本酒に出会って、『やっぱり日本酒っていいよね！』って、日本酒を再認識して帰られたこともあります。そういうとき、すごくうれしいですよね」

お酒だけではありません。珍しい鮮魚も入荷することが多く、あっこんなの初めて食べたと感動されるお客さまもいらっしゃいます。

入荷情報はツイッターやフェースブックで発信中です。

ある日の入荷情報には、熊本産のシラウオやノレソレ（穴子の稚魚）の仕入れも。天ぷらにしてもらって、しぼりたて原酒で一杯なんてサイコーかも。

「私どもの店が、何かのきっかけというか、入り口になればとてもうれしいんです。そのためにも、本当におすすめできるものばかりをご用意しているんですょ」

オープンしてから2年──。

コンセプトを変えることなく、クーポンなどをばらまくこともせず、ひたすらまじめに取り組んできた様子が岩崎さんから伝わってきます。情報発信は、SNSを使って毎日的に更新しています。

「正直に、まじめに、手を抜かずに。当たり前のことなんですけどね（笑）、当たり前をしっかりとやっています。それとお金とか数字ばかり追いかけるのもダメですね。追いかけると逆に逃げていく。きちんと目の前のお客さまに向き合うこと。それがサービス業なのかもしれませんね」