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第11回 Cucina Italiana HARU

2012.7.5
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行動は一流店、心は赤提灯

「こんにちは~」。

大きなガラス張りのドアを開けると、スタッフから明るい声がかかります。

「いらっしゃいませ」という堅苦しい言葉は抜き。ゆっくり食事を楽しんでくださいネ、というお店からのメッセージのように聞き取れます。

ランチ時、店内はおしゃべりと笑い声とグラスや食器の音で、静かすぎず、ほどよく賑やか。女性ひとりのお客さんも、カウンター越しにスタッフと談笑しながら食事を楽しんでいます。

フレンドリーな店。というか、ゆる~い居心地のよさを感じるレストランですね。

「友人を迎えるように、レストランをやっています。食材や料理はその日最高のものを、でもおもてなしは赤提灯の居酒屋みたいな気持ちで。これが私のスタイルなんですよ」

スケルトンから立ち上げた空間は、カウンターの向こう側で仕事をする山田シェフの存在が見え隠れするように設計。でも、ときどきカウンター手前までやってきて、すべての席をぐるりと見渡します。

そしてカウンターでメイン料理をいただいていた私に、「おなかいっぱいになりました?」。

「ぱんぱんです(笑)」本当にまんぷく寸前でしたョ。このあとに私の大好きなパンナコッタまで食べるのですから(笑)

お帰りの女性ふたり組にスタッフや山田シェフから声がかかります──「どうも~」 「また~」と女性たち。

「ありがとうございました」の堅苦しい言葉もここにはありません。「どうも」のひとことで想いが通じるのですね。

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利用するほどに、美味しくなっていくレストランをめざして。

山田晴久オーナーシェフは、トスカーナをはじめイタリア各地で3年間の修行を積みました。それも、海の家から二ツ星レストランまで、さまざまなスタイルのお店をあえて選んで経験したのです。

「もし外国人が日本料理を学ぼうとして、星付きの割烹料理店ばかりで修行を積んでも、本当の意味で日本の食文化を吸収できないと思うんですよね。肉じゃがの美味しさだってあるわけだし。そういうスタンスでイタリア滞在を楽しんできました」

イタリア現地に行ってはじめて気が付くことも多かったと、山田シェフは語ってくれました。

「おもてなしの気持ちは、日本人に負けないくらいイタリア人も熱いものをもっています。コース料理やお酒の楽しみ方にも発見がありました。3年の滞在を通して、私が解釈してきたイタリアの本物の食文化を伝えていきたいと思っているんですよ」

たとえば、テーブルで料理を取り分けることはお断り。前もって取り分けたいことを伝えれば、シェフがキッチンでひと皿ごとに盛り付け、運んでくれます。

予約の電話のとき、いろいろと質問するのも、満足のいくひとときにしたいと願う、強い意志の表れなのです。

「ついつい聞きすぎて、嫌がれたりもします(笑)。ただ、ご来店機会が増えるにしたがって、お客さんの好みなど顧客データが蓄積されるので、その人にとってより美味しい料理メニューをつくることができます。利用するほどに美味しくなっていくレストランをめざしているんですョ」

パンチェッタと玉ねぎのトマトソースパスタ(右上の写真)のあと、この「メカジキとナスとズッキーニのグリル」をいただきました。

この日のドルチェは「ココナツ風味のパンナコッタ」。パイナップル100%のソースが爽やかで美味しかったぁ!

ギャラリースペースにもなっているテーブルの天板がオシャレ♪ 女性ひとりでも楽しめるレストランです。

店舗情報
クチーナイタリアーナ ハル(Cucina Italiana HARU )
東京都文京区湯島2-26-4 グレース湯島1F
tel.03-3833-8606
営:ランチ11:30~13:30(L.O)
     ディナー17:30~22:00(L.O)
休:日曜日
交:千代田線湯島駅徒歩5分
<予告>次回のリレーキーワードは?
「クチーナイタリアーナ ハル」湯島つながり「ビストロ タカ」

イタリアのシェフたちはとてもタフだそうで、ランチのあと、テニスで汗を流し、そのままディナーに入ってものすごい集中力で仕事に取り組むそうです。ONとOFFの切り替えがハッキリしているのですね。さて、次回も湯島天神のすぐ近くのレストランです。「高萩宏英さんの『ビストロタカ』さんをご紹介します。すぐご近所で、同年代ということもあり、このエリアをいっしょに盛り上げていけたらと思っている仲間です」。ありがとうございます。それでは次回も湯島でお会いしましょう。

文:高木 正人
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