第45回 DINING AND THE BAR JUPITER
渋谷のセンター街にありながら、センター街らしくない店をめざして。
えっ? ここが渋谷センター街のど真ん中にあるお店なの?! 「ジュピター」さんを訪れてまず感じたのが、そんな意外性なのでした。
白い教会をイメージした店内は清潔そのもの。ボサノバや女性ヴォーカルのジャズがかかり、ゆるやかに時間が流れています。
ひとりふたりでじっくりとカクテルを味わいたいときはカウンターで。女子会やグループでの会合には個室スタイルのソファ席で、とさまざまな使い方ができる空間となっています。
メニューを開くと、写真とコメントつきで料理を紹介。選ぶ側の目線に立ち、雑誌のグラビアを見る感覚でみんなで楽しくチョイスできるように構成されています。
実際に運ばれてきた料理にもひと工夫を発見!
「バーニャカウダー(写真)」は、お皿の中にキャンドルライトを忍ばせているため、ゆらゆらきらめいて、まるで野菜のデコレーションケーキ!
「8割が女性のお客さまです。ソファ席は女子会や記念日などのご利用が多く、バーカウンターは40代のお客さまも多いですね。人気のバーニャカウダーをはじめ、長野の野菜をメインにしたメニューに力を入れています。長野の大自然で取れた野菜たちをいっぱい食べて、元気になって帰っていただければと思います」と、オーナーの内山慎吾さんは語ります。
2006年のオープンなので、すでに7年目を迎えています。スクラップ&ビルドがつづく渋谷センター街の中で、内山さんのめざしてきた「センター街らしくない、落ち着いて食事を楽しめる空間」は、月日を超えて静かに大人の女性たちに支持されているのです。
来た時よりも、帰られるときに、少しだけ幸せに---そういう店でありたい。
内山さんは渋谷や銀座のバーで仕事をしてきた、いわばサービスの人。話し方、声のトーンもやわらかく、誠意をもってお客さまと向き合います。
「ジュピター」の多彩なイタリアンを支えるシェフ、今話題のミクソロジーカクテルをつくってくれるバーテンダーと共に、チームワークよく仕事を進める内山さん。
「私はスタッフに恵まれています。スタッフがいるから、私は店全体を見渡しながら、目配り気配りに神経を集中することもできます。本当にありがたいことですよね」
スタッフを大切にしている経営者でもあるのです。
また、社会貢献の意味もこめて、アルバイトに学生を積極的に雇い、サービスの経験の場を提供しています。きちんとしたサービスを提供している飲食店での体験は、きっと社会人になったあと活かされるはずですね。
経営者としても成長していきたいと語る内山さんは、30代で3店舗をめざしています。
「次は、大人の落ち着けるバーをやはり渋谷で出店してみたいですね。そして40代になったら、店をスタッフに任せて、私は生産者の近くで仕事をしたいと思っているんですょ。土に学び、生産者のみなさんと連携しながら、生産拠点~レストランの現場をつなげる役割に立てれば、と思っています」
渋谷の飲食人仲間も多く、同世代のシェフたちともネットワークをもつ内山さん。経営者としての今後の飛躍にも注目です。
「ただ、今は初心を大切に、今日ご来店してくださるお客さまに向き合うことに全力を注いでいます。来てくれたときよりも、帰られるときに、少しだけ幸せになっている──そういう店をスタッフと共にめざしているんです」
ゆったりと大人の女子会を楽しめるソファ席に身を沈めれば、ここが渋谷センター街のど真ん中にいることをすぐに忘れてしまいそう。
ソファ席はベールのカーテンで包まれて、半個室のような落ち着き感。シャンデリアの灯りが楽しいひとときを演出します。
内山さんとのおしゃべりも楽しいバーカウンター席。また、バーテンダーによるオリジナルカクテルづくりも目の前で楽しめます。
- DINING AND THE BAR JUPITER
- 東京都渋谷区宇田川町30-4 新岩崎ビル3F
- tel.03-3780-2233
- 営:17:00~翌2:00
- 休:無休
- 交:各線渋谷駅徒歩5分
2013年のトリを飾ってくれた「ジュピター」さん、いかがでしたでしょうか。渋谷のセンター街にこんな意外性をもつダイニング&バーがあったんですね。さて、2014年のトップバッターを飾ってくれるお店は? 「同じ渋谷のセンダー街に、うち以上にセンター街らしくない(笑)老舗レストランがあるんですょ。創業34年の『ワゴン・リ』を支え続ける足達さんをぜひご紹介したいですね。人柄も素晴らしい、渋谷の大先輩です」。ありがとうございます。それでは次回も渋谷センター街でお会いしましょう。