さまざまなシーンで愉しめる、クラシックなフレンチ。

フレンチレストランで8年間、サービスや前菜、ストーブ場、パティシエ、スーシェフと、さまざまなポジションを経験したあと、ワインのインポーターで営業職に就いてさまざまなレストランオーナーと商談をした経験も持つ中野さん。

現場でじっくりとスキルを磨いてきたことがプレイヤーとしてのトレーニング期間だったとすると、ワインの営業で街場のレストランを回った経験は、店を外側から客観視する力を養った貴重な時間だったのかもしれません。

独立したのは30才──。

「ビストロ並みのリーズナブルさで、提供する料理はかっちりとしたクラシックなフランス料理であることをコンセプトに、準備をしました。私はクラシックなフレンチが好きなので、ソースを丁寧につくり、フランス産のフォアグラや仔羊の料理に仕上げています」

ワインの営業時代のことは、店づくりにどう生きているのでしょうか。

「ホームページづくりかもしれませんね。当店は2階の立地ということもあって、道路から空間を見ることができません。ですから、ホームページでたっぷりと空間を伝えることにしたんです。それもトップページにフラッシュムービーでね」

「ル・レガル・トワ」のホームページ内には、「シーン」というタブがあり、お客さまの目線に立ったお店の使い方、利用シーンが描かれています。これなどは、営業職の経験を生かしたアイデアであり、企画かもしれませんね。

現在は、信頼できるシェフにキッチンを任せ、中野さんはホールでお客さまをお出迎えします。

「分かりやすくワインを説明したり、お客さまの感想や反応をキッチンに伝えたり、サービスマンとして仕事をするのが好きなんです。お帰りの際、この価格で、あんな料理が食べられてスゴイ！なんて言っていただけると大変うれしいですね」

一番大切にしていること。それは、人とのつながり。

中野さんが活動する場所は、店の中だけではありません。

経営者として、イタリアンのお店も展開しています。

「独立して5年目に2号店を出店することができました。オープン6ヶ月間は現場をサポートし、今は信頼できるシェフに任せています。3号店ですか？　いやまだ具体的には進んでいませんが、京のおばんさいを提供する和のお店をつくりたいと考えているんですょ」

フレンチ、イタリアン、和食と、「中野武志」プロデュースならではの飲食店を池袋で展開することを考えているのですね。

中野さんのファンにとっては、今夜はイタリアンに行こうかとか、日本酒を呑みに和の店に行こうと、池袋エリアで使い分けができる。便利ですよね。

オーナーシェフとして、あるいは経営者として、目指していること。中野武志の心得なるものがあるとすれば何でしょう？

「人とのつながり。これを一番に考えています。先輩や仲間のレストラン経営者、お客さまのつながり、食材や酒屋さん、内装の会社など、すべての人たちとのつながりを大切にしています。時間をつくって、コックコートを脱いで、街に出て、営業活動をするのが私のテーマなんです。地域に根ざして、みんなと仲良く、この池袋の飲食を盛り上げていきたいですね」

毎回、インタビューの最後にこのコーナーの「次のお店」をご紹介いただくのですが、中野さんの口からおすすめの飲食店が出てくるわ、出てくるわ（笑）。多くの先輩や仲間たちとつながっていることがよく分かります。

経営者として、ますます活動領域を広げていきそうな中野さん。

主体的な目線と客観的な目線──。その双方から見えてくる新しいアイデアや新店の企画に今後も目が離せませんね！